短編
□親友以上恋人以下!?
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「……つぅ」
「大丈夫ですか?ゆぅ」
「…大丈夫」
現在、時刻は1時20分。
昼休みも終わり五時限目の授業の真っ最中である。
当然、この二人も授業があるのだが、何故か今は保健室にいた。
「…ちょっと浸みますけど、我慢して下さい」
「…うん」
保健室のソファに座る夕輝の右の足首にゆっくりと湿布を貼る空緋。
冷たさと匂いに耐えきれないのか、夕輝は顔を反らし、渋い顔をしている。
「はい。これで大丈夫です」
「ありがとう。くぅ」
いえいえ、と言う空緋を見ながらニコリと礼を告げると湿布を貼る為に上げたズボンの裾を下ろす。
「でも、気をつけて下さい。心配したんですからね」
「あはは…ごめんね」
授業が始まったのは、ちょうど20分前。
今日の五時限目は体育だった。
種目はマラソン。
普通にやっているなら、差ほど大きな怪我をしないで済むのだが、何故か今日は珍しく水月と翡翠の喧嘩、さらには水錫と火流亜の喧嘩が運悪くぶつかってしまった。
この二つの喧嘩を止めに入った柊が逆に火流亜の炎に燃やされかけ、それを華麗な動きで防ごうと際に、水月にぶつかり、怒った水月がみずでっぽうを発射。
それを諸に食らった柊は、そのまま岩に向かって飛ばされ、たたき付けられそうになった時に、さっと夕輝が助けに入った。
が、柊が飛ばされたスピードが思った以上に早く、岩と柊の間に入れなかった夕輝は、半ば、がむしゃらにでんこうせっかでスピードを上げ、強引に間に入った。
そして無事に柊は救出。
その変わり、柊を抱き留めるような形で入った夕輝は岩に思いっ切りぶつかるのを防ぐために踏ん張ったのが、アダになったのか逆に足首を痛めてしまい、保健室送りとなった。
「本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ?」
眉を下げ心配そうに見てくる空緋に夕輝は苦笑いで返した。
それを見た空緋はやっぱり、まだ心配なのか夕輝の右足をじーっと見ている。
そして次の瞬間、何を思ったのか、空緋は静かに夕輝の足首に触れた。
「……っ!?」
途端にビリッとした刺激が夕輝へと走る。
「…で、何処が大丈夫なんです?」
「……あはは」
凄むような笑顔で見てくる空緋に夕輝からは乾いた笑いしか出なかった。
それを見た空緋は視線を足首へと戻し、優しく撫でる。