短編
□天然も程々に……
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それは、またもや暇で仕方がなかった蟹からの一言が始まりだった。
「なぁ、暇だし…かくれんぼしようぜ」
にこやかに笑いながら確認をとるヘイガニに面白そうとすぐにのるピカチュウ。
楽しそうですねと笑って参加する事を決めたコータス。
コータスがやるなら俺もとオニゴーリ。
残った俺とジュプトルはアイコンタクトを取り、逃げられる筈もないので諦めて参加する事にした。
俺はこの決断が後に大きな分かれ道で道である事を知ることになる。
******
「よし!じゃあ、数えるから隠れろよ」
まず、初めの鬼はオニゴーリ。
公平に決めるために隠れ場所となるポケモンセンターの前でじゃんけんを始めた俺達。
その結果、珍しくオニゴーリが負けた。
「おっけー!ちゃあんと、百数えてよ?オニゴーリ」
「お前じゃないんだから、しねぇよ!」
「何だってっ!!僕だって流石にそんな事しないよ」
「まあまあ、二人とも」
売り言葉に買い言葉の手順で取っ組み合いに発展しそうになったピカチュウとオニゴーリの喧嘩を俺は間に入って止める。
この二人は根が似ているせいか、よくこうして言い争う。
腹黒鼠とか最終兵器オニゴーリとかは、日常的に聞けるくらいだ。
まあ、これを言うのは他にも居るんだけど。
例えば…今まさに溜息を付いている俺の隣にいる緑の人とか。
「おい。オオスバメ!その緑の人ってハムの人みたいだから止めろ」
えっ?
「あー…そうだねぇ。でも、ジュプトルがハム配ってるとかっ……あははっ笑える」
あれ?
「ププッ!ジュプっちがハムの人…」
「ハムとか似合わねぇよなっ…!」
あははと腹を抱えて笑い出す悪戯常習犯組。
目頭にはうっすらと光るものが見える。
所謂、笑い泣き……。
「お前ら……」
プルプルと肩を小刻みに震わせるジュプトル。
よく見ると右手で握り拳を作り、ぐっと握っている。
それから額には怒りマークみたいなものが浮かんでいた。
「いい加減にしろー!!」
ドカーンと火山でも噴火したかのように怒鳴るジュプトル。
余りにも凄い迫力に先程まで笑い崩れていた三人がピタリと止まった。
ちなみにコータスは第三者と化している。