Novel2

□ライフ
1ページ/1ページ



「いい加減にしてくれないかなぁ?冷」
「それは、こっちの台詞だな。緑」

季節は夏だというのに、ここだけ寒いってか、怖い……。
自分が原因とは、一ミリも思っていない珊瑚は人事のように目の前で起こっているバトルを見ていた。

「……はぁ」
「こぉら。何溜息ついてんの?」

理由も分からず途方に暮れていると、凛明が満足げな顔をして話しかけてきた。

「元気そうだね。今日は何したの?」
「ん?今日はねぇ…」

恒例とかしたそれの内容を聞くと、彼女はイタズラっ子の顔して言い放った。

「雨水を…イカダに縛り付けて流しちゃいました!」
「な、流したー!?」

語尾に星でもついてるかのように、笑顔で言い放つ凛明に流石の珊瑚も絶叫。

「そっ!流しちゃった!」
「でも、大丈夫!だってアイツ…」
水タイプだし。
「あはは……」
ご愁傷様。雨水。安らかに眠って。
「って、殺すんじゃねぇー!?」

尚も笑顔で言う凛明に諦めて黙祷を捧げようとする珊瑚の前に現れたのはワカメお化けと化した雨水。
全身びしょぬれで珊瑚にツッコミを入れた。流石、ツッコミ担当。

「俺はツッコミ担当でもねぇー!…って、珊瑚!俺は生きてる!生きてるから!!」「えっ…ごめん。てっきり、もう逝ったのかと」
「だから、死んでねぇし!漢字も間違えてるから」
「あはははははははははははは」
「だけど、流されたし」
「だからって、死なねぇから!こうして、無事に帰還もしたし!」
「あはははははははははははは」
「うん。それは、良かったよね」
「ホントだよ……って、いつまで笑ってやがる凛明!」

珊瑚と雨水の掛け合いの中、ひたすら腹を抱えて笑う凛明。
よっぽどおかしいのだろう。
その瞳にはキラリと光るものが見える。
所謂、笑いすぎて涙がの状態だ。

「だって……っ!あはは、もう珊瑚最高!」

指を立ててグッジョブと言うと雨水が何処がだーと騒ぎ立てる。
余りにも日常な風景に珊瑚は苦笑いを浮かべる。

(でも、楽しいからいいか)

あくまで自分に大きな被害は来ないし。

くすりと笑うと、珊瑚は未だに言い争うと二組を止めようと、すーと酸素を吸い、

「もう! いい加減にしなさーい!」

空を飛ぶとりポケモンたちが驚いて一斉に去っていくくらいの大声を上げた。
数分後、いつまで経っても集合場所に訪れない五人を探しにきた宇宙(そら)が、背筋を伸ばし正座する四人の前に仁王立ちする珊瑚を唖然と遠くから見ていたのは、また別の話。



.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ