メモ

□今日も私は恋をする
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私があの人に会ったのは、今思えば必然だったのかもしれません。

そして、彼を…好きになった事も。


「ピカチュウ様ー!」

ここ一番の笑顔を振り向き私は彼にもうアタックする。
既にこれは日常とかしていて、周りも皆了承済みだ。

もちろん彼も私の気持ちを知っているから、邪険に扱いながらも話はちゃんと聞いてくれる。

そんな、ささやかな優しさが私はすっごく好き。

「どうしたの?ミミロル」

困ったように眉間にシワを寄せる。
けれども、知ってるの。
あなたは私を追い払ったりしないって。

「何してらしたんですか?」

いつものようにニコリと笑ってみせる。
すると、彼は私を仲間外れにしたりせずに教えてくれる。

「かくれんぼしようって話してたんだけど、ミミロルもやる?」

「はいっ!」

私の返事に嬉しそうに頷くと彼は皆を集めて鬼を決める。
今回の鬼はハヤシガメのようだ。
だから、私はそっと彼の手を掴んだ。

「ミミロル?」

首を傾げて問う彼に私は何でもありませんと一言、言った。
本当は、あなたの側にいたい。
駄目ですか?と聞きたかったのだけれど。

知ってるの。
あなたが誰を思ってるかなんて。
ずっと、見てきたんだから。

彼は私を一度見るとハヤシガメを指差して言った。
あいつは何だかんだいって、皆見つけるから早く隠れないとね。
悪戯小僧のような笑顔がいつもより輝いて見えた。

「じゃあ、気をつけてね」

口角を上げて笑みを見せると、彼はスタートラインの部屋から出ていった。

その後ろ姿を私は見えなくなるまで、ずっと、ずっと眺めていた。
 

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