メモ

□太陽な君
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君に会えたから

僕は変われた

だから僕は君に

ありがとうと伝えたい。


薄暗い部屋にぽつんと一人いた。
そこは言葉じゃ言い表せないくらい気持ち悪い場所で今でも思い出すと吐き気がする。

思えば“孤独“との戦いだった。
暗闇は僕の心に根付き、助けを求めさせないように深く奈落の底に突き落とす。
何もない何も聞こえない。
一人だと嫌でも実感させていく。

「………けて」

声無き声が喉から出る。
けれども音にならない。
光を探して手を伸ばすが、誰にも届かない。

「……こわい」

両手で抱きしめるように自分の体を支える。
でなければ、心がくじけてしまいそうだから。
あれは僕をどうしたいの。
疑問だけが残った。

『……おぃ』

カタカタと体を震わせていると声がした。
聞き覚えのある声。
確か彼はあの人がゲットした僕の新しい仲間の一人。
思考が歪みはっきりと浮かんでこない。

『ピカチュウ』
「…………だれ?」

分からない。
知っている彼の顔がぼやける。
消えてしまう。
早くしなきゃ。

「まって……」

声に向かって手を伸ばす。
無理なのは承知の上だった。
すると暗闇の向こうに小さな光が見えた。

「…………ひかり」

縋るような思いで必死に手を伸ばすと視界が暗転した。

眩しさに目をゆっくりと見開く。
僕の目の前には彼がいた。

「……オニゴーリ」
「おっ起きたのかよ」

苦笑を浮かべ彼の名を言うと安堵したような声で返される。
その際に体が凄く重く感じた。
よく見れば全身汗びっしょりだ。

「……大丈夫か?」
「うん」

彼に心配されながら僕は静かに起き上がる。
視界の隅に何処か落ち着かない彼が見えるがそこは敢えて知らない振りをした。
なぜなら僕達は普段は喧嘩してばっかの悪友ともいえる関係なのだから。

それなのに僕は彼に見せてしまった。
普段ではない僕の姿を。
案の定、彼は驚きいつもより言葉数が少ない。
それに比例してか自然と会話も短く直ぐに途絶えてしまう。

「他の皆は?」
「……あぁ。あいつ等なら朝食済ませて遊んでるよ」
「そっか」
沈黙が嫌で軽く尋ねると少し間を置いて解いがくる。
話を聞いてみると、どうやら僕だけ相当寝てたみたいで。
全員が朝食について現れず、誰かが様子を見に行く事になっていたようだ。
昨日は珍しく僕はサトシと同じ部屋で寝た。
まあ、それは部屋数が少ないとか色んな理由があったからの事だ。
本当なら今の仲間たち、ホウエンメンバーと一緒に寝る筈なのだが。
その時は早起きのコータスやオオスバメがなかなか起きない僕達を起こしてくれる。
だが、サトシでは起こすと可愛そうと思う事が多いらしく僕は大抵、時間ギリギリまで寝かされている。
今日もある意味でそうだった。
この場合は、残りのメンバー等でじゃんけんをして負けた奴が僕を起こしにきてくれる。
それが今回は彼だったという訳だ。


「じゃんけん負けたんだね」
「……まあな」
「にしても、そんなに寝てたんだぁ」

哀れみの目を向けると同時に目を逸らされる。
少しの間の後に紡がれたのは肯定の一言。
何だかニュアンスが変に感じたけど、僕はスルーして話を続ける。

「ぐっすりだったぞ」
「本当に?あははっ!」
 

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