メモ

□お願い
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やさしくしないで

誤解してしまうから

あなたが好きなのは

別の人なのでしょ?


笹の葉さらさら〜と近くで飾り付けをするヘイガニたち。
始めはやる気のなかった皇帝様たちも今では一番楽しんでるように見える。

七夕というと織り姫と彦星、それから天の川。
何も知らないスバ子にそっとその事を教えるのはジュカイン。
オニコー組は幸せそうに願い事を考えている。
ヘイガニは勿論、ワカシャモと一緒だ。

そして僕はそれに混じっていつも通りの願い事を短冊に書く。

“サトシと結婚出来ますように“

それから……もう一つ。

こっそりと一枚に多めに書く。
この願いは、笹に飾らずそっと畳みポケットにしまう。

誰にも知られたくないから。
でも、忘れちゃいけないから。
捨てられずに今年も持っておく。

溜まっていくこの願い事は……もう、願いというより、僕の決心に近い。
それはきっと、彼への想いからなのか。

あの人への気持ちを笹に吊す。
他にもたくさんの短冊が既に吊されていた。

オニゴーリたちの短冊だろう。
読まなくても分かる。
誰かに対する想いだ。

それからこれはあの人たちの短冊。
これも分かる。
そう遠くない未来への誓い。


織り姫と彦星のように僕達には制限なんてものは存在しない。
けれども、旅が永遠に続く事はありえないのだ。
いずれ、終わる。

カスミがジムに戻ったように……ハルカだって別の道を歩む時が来る。
そしたら、サトシだって……。
今と同じではいられない。

その時、僕はいるのだろうか。
出来れば居たい。
あなたの側に。

永遠なんてないけれど。

せめて、その時が来るまでは。

一緒にいたい。
 

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