メモ

□俺だけの天使
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『サンダーさん!ぼくね……』

黄色の髪、赤いほっぺ、どこまでもふわふわしている体。
とても小さくて抱きしめたら壊れてしまいなそうだった。
すっぽりと俺の腕の中に収まる彼はまさに可愛くて守りたいと思った。


「なんだ……夢か」

小鳥の鳴き声が窓の外から聞こえる。
暖かい日差しは部屋に溶け込むように俺を照らした。
眩しさに目を細め、手探りで枕の辺りを探り時計を見つける。
時計の針は七時半を指していた。

「やばっ!」

ガバッと起き上がり、急いで制服に着替える。
机の横にある鞄を持ち、ざっと部屋を見渡す。
忘れものはどうやらないようだ。
ほっと一息を付き、部屋を後にした。


「おはよう!サンダー。遅いよ〜?いくら寮だからって」
「お前って本当にねぼすけだな」
「うるさい…」

リビングに向かうと既に起きていたフリーザーが忙しく朝食の準備をしていた。
その横にはいつもならまだ寝ている筈のファイヤーまでいた。

俺がいる寮は伝説寮という。
何の捻りもないがその名の通り、伝説のポケモンたちが集まっている。
寮は主にセルフサービスなため、そこに住むメンバーたちでご飯を作ったりしている。
この寮で主にご飯を作っているのは、今もエプロンをつけて味噌汁をお椀に入れているフリーザーだ。
彼は所謂、お母さん的存在と化している。
ちなみにお父さんはある意味でファイヤーだったりする。

「他の奴らは?」
「ツーはミュウちゃんと一緒に先に学校に行ってるよ」
「三犬共はまだ寝てるぞ。セレとジラはそろそろ起きてくるかもしれないけど。」
「後は……みんな寝てるよ」
「そうか」

どうやら起きてるのは先に学校に向かったミュウツー、ミュウ兄妹とこの場にいる俺達だけらしい。

「フリーは、今日日直じゃなかったか?」「うん?今日は、ツーに変わってもらったから」
「だから、あいつ急いでのかよ」

朝食の準備を終え、エプロンを畳み炊飯ジャーを持ってきたフリーザーに問い掛けているとテーブルに味噌汁の入ったお椀三つを置いていたファイヤーが会話に入ってきた。

どうやら、俺が起きてくる前にミュウツーがフリーザーの日直を変わったらしい。
簡単に了承したミュウツーはミュウとともに玄関に向かったその時にファイヤーは調度起きてきたらしい。

よってミュウツーが日直を変わった事もフリーザーが日直だった事も知らなかったようだ。
「うん。私は皆の朝食の準備があるからって言ったらツーが『まかしとけ』って」
「ツー…男らしいな」
「ってか、フリーザーしか料理が出来ないからだよな」

フリーザーがご飯をよそいながら、いつもように顔を赤くする。
それを少しも気にしていないのかファイヤーはフリーザーからご飯を貰い、こちらもミュウツーの男気に酔いしれる始末。
俺のその後の一言はどうやら聞こえてないようだ。

「はよ〜!サンちゃん!フリーちゃん!ファイちゃん」
「ふわぁ……お腹すいたにょ」
「あっ!セレ、ジラ、おはよ!」

目を擦りながらリビングに突然入ってきたのは幼稚園組のメンバー、セレビィとジラーチだった。
二人はまだ眠いのか服も着替えないでそのままリビングに来てしまっている。
それにいち早く気付いたフリーザーは箸を起き、二人に笑いかけると二人の手を引いてリビングを出て行ってしまった。

「」
 

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