anniversary

□チョコより君が欲しい
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今日はバレンタイン。

いつもは内気な女の子も勇気を出して手塚にチョコを渡しに行く姿が先ほどからちらほら見える。

女の子がよってくるのは手塚だけじゃない。

テニス部のレギュラーは勿論のこと僕にだって渡しに来る。

なのでせっかく朝早起きして作った手作りチョコを渡せていない。

手塚は甘いものが苦手だから甘さを控えたビターチョコを使ったクッキー。

いつもはしない料理をしたせいか、僕の手には絆創膏があちこちに貼られてある。

まぁ、手塚のためだったらこんなのはなんともないのだけれど。


放課後、テニス部の練習が終わり部室には僕と手塚だけが残っていた。


「ねぇ、手塚。」


「なんだ?不二。」


「チョコいくつ貰った?」


唐突に聞いた質問に手塚は困っていたようだがすぐに答えを出してくれた。


「70個以上だな。今年はいつもの倍だ。そういう不二こそどうなんだ?」


「僕は60個ぐらいかな?手塚には負けるけどね。」


「・・・・お前はくれないのか?」


いきなりストレートに言われて僕は目を丸くした。

僕のロッカーの中には確かに手塚へのチョコが入ってる。

あんなにチョコを貰ったのだからいらないかと思っていたが、違ったようだ。


「チョコ欲しいの?」


ちょっと焦らしてみる。

女の子たちに沢山貰ってたのを見て少し嫉妬してたなんていえる訳がない。

照れ隠しも含めて焦らしたっていいじゃない?


「欲しいが・・・しいて言うなら」


「??」


「お前が欲しい。今日は泊まりに来ないか?」


滅多に言わない『泊まり』という単語。

僕は勿論“いいよ”と返事をして手塚の家に泊まりに行った。

こんなバレンタインを過ごした僕は幸せ者だね。






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