その他ブック

□まずは世界の片隅から
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付き合い始めたのは1ヶ月前くらいから
相手から明確な愛情表現があって
俺は何の抵抗感もなく承諾した
(相手が中性的だったからかもしれないが)



よくもまぁ男だらけのあんな環境で
器量良く育ったもんだと、時々感心する
(一番顕著に表れるのはあいつの晩飯当番の時だ)



そしてそう思う度に
自分でもどツボにはまっていくのが手に取るようにわかって



最近ではちょっと喋ったりすることに
嬉しかったりするという




(まるで恋する女子高生みたいだ)




ぼんやり考えてみる




それでも
俺は口下手だし
なんやかんやで自分の気持ちはうやむやにしがちで
言わなくても分かってくれるんじゃないか、とか
これまた見当違いなことを思ったりするもんだから



こういう場面になるとめっぽう弱気になったりして



(バカだ、バカ)




しかも相手は男女を問わず人気があるときた




(とっとと言っちまえばいいものを)






素直になれないとは、損だと思う







しゃがみこんであーだこーだとぐだぐだ考えてると








「せーい、何してんの」








頭上から声



げ、と悪態をつく






「人の告白シーンを盗み聞き?趣味が良いとは言えないなー」





人を茶化すような口調




「うるさい」
「ははっ」




静も可愛いとこあるんだね
と含み笑いをする







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