□世界の終わり
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「日吉、俺ね」
「はい」


「世界が終わる夢を見たんだ」



『世界の終わり』



「世界が終わる・・・」
「うん。俺は日吉に手を振って"バイバイ"って言うの」
「それで、俺は?」
「わかんない。日吉が消える前に俺が消えたから」


少しの沈黙

冬の風が少し冷たい

「それでね」とジローが話を続ける


「俺が消える直前に、日吉が俺に言ったんだ」





「"愛してます"って」





風が頬を掠める


「目の前で人が消えかかってるのに俺そんな悠長なこと言ったんですか」
「そんなことないよ〜。だって日吉がそれ言った時の顔」


泣きそうだった


ジローが呟くように言う


「だから、日吉の珍しい顔も愛の言葉も聞けて、俺ラッキーって思った」
「・・・何ですか、それ」


「でもさ、日吉」


もしも、


そんな言葉は聞きたくなくて、「ジローさん」と言葉を遮る


「俺もいなくなりませんから、あなたも俺の前から消えたりしないで下さいよ」


そう言って元気な返事が帰ってくれば


明日も安泰だ


「うん!」


そう思える









 

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