1
□気付いたことには蓋をした
1ページ/2ページ
『気付いたことには蓋をした』
きっかけはほんの少し
『あ、ちょお、そこの人』
突然話しかけられて
妙に馴れ馴れしくて
苦手なタイプだとおもった記憶がある
『俺よりちょっと背が高うて色素の薄い奴見てへん?忍足謙也いうんやけど』
「本当面倒臭い先輩やわー」とこぼすそいつ
忍足、と聞いてさっき忍足さんが誰かと話しているのを見たと思い出す
『それなら多分あっちの方に』
『ホンマあの人何しとんねん…悪い、おおきにな』
・
・
・
「おーい、日吉」
耳元で本人の声がして、ハッと我にかえる
いつの間にか、出会った時のことを思い出していた
「あ…悪い」
「何かあったん?」
「何もない。少し思い出してただけだ」
あれから忍足繋がりで互いを知った
ちょくちょく連絡をとるようになって
いつの間にか、それが楽しみになっていた