Book2
□もしも…メンバーが動物だったらG
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ポツポツ…
なにかが当たる感触にスコールは顔を上げる。すると冷たい雨が彼の体全体に打ちつけるようにして降ってきた。
ザァアアアアア―…
どす黒い空を見上げながらスコールは目をつむる。
そうだ。あのときもこんな風にひどい雨だった。
(これで…いいのか?)
姉であるエルオーネの姿が今でもありありと思い浮かべられる。それは悲しい、悲しい記憶。心の奥底に押し込めたはずの記憶だった。
そこに…リノアのあの笑顔が重なる。真っ白なリノア。その体と同じく彼女の心も真っ白だった。生まれてきて初めて感じたあの気持ち。それはいつも抱いている嫌悪感の類とはまったく違うもので…心も体も自然と軽くなったようだった。リノアと接しているときは…
目が自然と熱くなる。
スコールは…泣いていた。
雨ではっきりとは分からないが…でも彼は生涯の中で初めて体を震わせて泣いていた。思わずそこでうずくまる。心の奥底から溢れ出た感情が涙となって流れていた。
「リノア…会いたい…」
初めて言えた素直な自分の気持ち。俺…ようやく分かった。俺はリノアが好きなんだ。離れてみて…俺にとってどれほど大切な存在になっていたか。どれほど望んでいたのか…わかったよ。
会うたび、会うたび次に会えるのが楽しみで…話を真剣に聞いてくれるのがうれしくて…俺のためにいろいろ世話をしてくれた姿が…愛しくて。初めは気付かなかった。でも…途中からは気付かないふりしてた。
素直に思いを表せればよかったのに…過去の記憶が邪魔をした。このまま俺にとって大切な存在になれば…俺とリノアの今の立場では…きっと一緒にいることは難しい。だからそこで傷つく前に終わらせようとした。