Book3
□Rhapsody in blueA
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「ふ〜なんとかうまくごまかせたかな?でもこれからどうしよう…」
仲間たちの遊ぶ姿を恨めしい視線で眺めながらリノアは自分の膝の間に顔を埋める。
戻ってきたリノアだが実は体の調子が悪かったわけではなかった。ではなぜ海に入ろうとしなかったのか。それは…
「…海が怖いだなんて…今更言えないし…」
未だに震える膝を抱える。
あれはわたしがとってもちっちゃかったころ…そうお母さんもまだ生きてて…お父さんとも仲がよくって…普通に家族旅行なんかもしていたんだ。
断片的にしか覚えていないけれど…
でも初めて海に連れて行ってもらって、とても楽しかったのは覚えている。お父さんとお母さんと一緒に波打ち際で遊んで、手を引いてもらって海に入って…笑ってたっけ。でもそんな楽しい時を過ごしていた時に。
そう、お父さんとわたしが海に入って…それで大きな波が来た。わたしは飲み込まれて…うきわからすっぽり体が抜けてしまって海に放り出されてあやうく溺れかけたんだ。
そのとき、お父さんがとっさにわたしの腕をひっぱってくれたからよかったものの…あの時に恐怖は未だに忘れられない。
地面に足がつかなくて息ができなくて本当に死んじゃう!って思った。
あれからてんで海がだめになったわたし。
しばらく見るのもだめだった。けど最近徐々に海を見るのが好きになった…そうバラムにで暮らすようになって、ここの海の美しさの虜になった。