Book3
□MASQUERADE!
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「なっ…」
「あはは…おハロー、スコール」
彼の目の前には今いるはずのない彼女の姿があった。予想外の事態に彼は現実を受けとめ
れず見開いて、彼女を見つめる。そう彼のその蒼い瞳に写るもの…それは恋人であるリノアの姿であった…
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8月16日 バラムガーデン食堂にて
ザワザワザワザワ…
バラムガーデンの食堂が一番、人で溢れ返っている時刻。生徒も教官も内勤のSeeDも一斉にここに介する。
授業を終えたキスティスとデスクワークに精を出していたセルフィもここで食事の真っ最中であった。とそこへ黒髪を靡かせた彼女たちの友人が駆け寄ってくる。
「リノア〜こっちこっち!」
「おハロー!セルフィ!キスティス!」
リノアはセルフィの隣に腰をおろし、グラタンののったトレイをテーブルに置いた。
「待たせちゃってごめんね」
急いでいたため息を切らしていたリノアはふーっと大きく深呼吸する。
「いいえ、わたしたちも今来たところなのよ。ところで授業はどう?」
「う〜ん、文系教科は好きなんだけど…弾薬の調合とか?わけがわかんないな…」
「あ、うちそれ得意やで〜また教えたるわ」
「ほんと?!セルフィ先生お願いします!」
「まかせたまえ!」
昼食を頬張りながら彼女たちはとりとめもない会話を弾ませる。だがSeeD2人と黒髪の生徒の関係ははたから見れば非常に不可解なものであった。SeeDと一般生徒があれほどまでに親密になる機会はどこにあるのだろうか。多くの生徒はその真実を知らない。
一方彼女たちはそんな周りの目は一向に気にすることはなく、とても楽しそうにおしゃべりを続けている。その光景は彼女らの容姿も相まって華やかなオーラを醸し出している。そんな彼女たちに主に男子生徒の視線が投げかけられる。彼女たちはそれを知っているのかどうか。