Book3
□MASQUERADE!C
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リノアはガーデンの経費で落としてもらった(ちなみにこれもイデアの力だったりする)コモーグリの着ぐるみを身にまとい、堂々とドールの街にその身を繰り出している。
(はー…本当にみんな幸せそうでなにより…)
リノアは着ぐるみの中から見える僅かな視界であらためてドールの街を見渡す。新たなるドールの門出。街には人々の笑顔が溢れ返っていた。
久しぶりに外に出られた解放感とその活気にあふれた雰囲気にリノアはとても浮かれた気持ちになっている。とその時リノアの目の端に見慣れた服装が写る。
(あ!も、もしかして…)
リノアは一気に自分の心拍数があがるのを感じる。そう、この狭い視界の中…でも間違えるはずもない。あの凛々しいSeeD服に身を包み、さっそうと歩いてくる栗色の髪をなびかせた青年…リノアの今一番会いたかった人物が就任式を行う予定の会場から大通りに姿を見せたのであった。
(ス、スコール…)
リノアはそれまでできる限り街を見渡したいと思い、ふらふらと歩いていたが、一心に彼を見つめ、立ち止ってしまう。なぜなら彼の姿は普段自分に見せる表情とあまりにも違っていたからだ。
スコールはインカムに耳を傾けているようだった。周りが騒がしいからか、眉間に皺をよせて首を傾げている。
(あんなに真剣な…というか険しい?緊張した?顔はじめてみた…)