Book3
□2枚の写真からA
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「なぁおい、もういいって」
「…いいわけないだろう。ここはしっかり練らないと…」
そういってスコールはまた書類を睨みつけ、荒々しげにペンを走らせる。その余裕のなさと触れたら爆発してしまいそうなオーラにゼルはただただ困惑するばかりであった。
仕事を終えたはずのスコールが再び執務室に帰ってきたのは3時間も前のことだ。そこに残っていたSeeDおよびかつての仲間たちは驚く。普段の彼ならば常人では追いつけないような早さで仕事をこなし、役目を終えたら風のように去ってくのに。それは彼を待つ人のところへ一刻も早く帰りたいのだという意志の表れだった。
なのに目の前のスコールは話しかけても一向に取り合ってくれず、目を伏せがちにしながらひたすら目のつく仕事をこなし、あまつさえゼルを巻き込む形となっている。そのへたに突っ込んでいけない雰囲気にSeeDたちは声をかけることもできずに遠目で彼らの様子を見守っていた。
「おい、スコール…」
すでに打ち合わせ済みの任務計画を掘り起こし、同行予定のゼルとともにそれを再度練っているスコール。普段の彼らしくない行動にゼルはさらにとまどった様子で声をかける。
「まだだ…」
「でもよ…」
「いいからっ!」
ばんと机をたたき、こぶしを握り締める。その様子を見たゼルは顔面蒼白になった。こんなに冷静さを失い、怒り狂うスコールをゼルは未だかつて見たことがなかったのだ。と同時に様子を窺っていたSeeDたちにも、どよめきが走る。一瞬にして空気が変わった。
「な、おいスコール…」
ゼルは何を言っていいのかわからなかったが、かろうじて言葉を発する。彼に手を差し伸べようとした瞬間、金髪の頭がすくっと立ち上がったのだ。