Book3

□2枚の写真からC
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スコールとリノアが例の写真を見た日からまる7日が過ぎようとしていた。

リノアはあれから何度もスコールの部屋へ行った。けれど何時行っても部屋には主人がいなかった。リノアは激しくドアを叩いた後に思う。きっとわたしを避けるためにスコールは執務室にこもっているに違いない、と。今頃なにをしているだろう。ものすごいしかめっ面で仕事をこなしているのだろうか。けれど…もしかしたらあの写真の彼女の部屋に行っているのかもしれない…甘い一時を過ごしているのかもしれない…そう思うとリノアは溢れだしそうになる涙を止めるに必死になるのであった。


そして今日もリノアは男子寮にむかっていた。行き先はもちろんスコールの部屋。けれど今日は彼がいなくてもいいのだ。いや、いないほうがいい。だって…今日来た目的は…彼の部屋に置いてあるわたしの荷物をとりにきたんだから。

―リノアはあのとき、そうスコールに逃げられたとき、深く傷つき、そして悩んだ。あの晩はどうやって部屋に帰ったかさえも覚えていない。ただただ苦しくって悲しくって前も見えないくらいに泣いたのは覚えている。ぼんやりとまるでスローモーションのように彼の背中が遠ざかっていって…距離が離れていくにしたがってわたしの中に寂しさと悲しさが増していった。
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