Book3

□2枚の写真から*その後のふたり*
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久しぶりにスコールの部屋に来た気がする。前、訪れてから1日とたっていないはずなのに。けれどその時と今では決定的に違うものがある。それは今、傍にスコールがいること。幸せな気持ちがあふれていることだった。

「なんか…疲れた」

「ふふ、わたしも」

「…そんな風には見えないな」


みんなと別れた後、手を繋いでスコールの部屋に帰ってきた。ベッドに座った二人。軽やかに同意して見せたリノアに反して、訝しげにスコールは視線をよこす。彼は心底疲れた様子でぐったりと首を垂れていた。

「だって驚いたよ…まさかこんなちっぽけな写真でわたしたち、かなり振り回されちゃってたんだね」

リノアはぴらぴらと写真をかざしながら言う。この騒動の根源が彼女の手のひらの中で踊っている。リノアは体をのけぞりながら足までぶらぶらさせていた。スコールは気持ちの切り替えが早い彼女に内心呆れる。


(かなりというか…絶体絶命だったぞ…)


今までの疲労がまた体に影響し始めたようで、スコールは脱力する。一方のリノアは上機嫌だった声音が急に低くなった。

「でもやっぱり嫌だな…」

何事かと思い、スコールは顔をあげた。

「どうした?」

「任務だってわかってるけど…やっぱり嫌だよ。他の女の子とこんなにくっついてるなんて…」

「しかもなんだか、スコール嬉しそう…」と言ってむすっとした表情をするリノア。それにスコールは愕然とした。さらに首を垂れる。

「あのなぁ…」

「なによぉ」

「いや、なんでもない」

「嘘!今、なにか言おうとしたでしょ!」


リノアはスコールの腕をつかんで揺らす。彼の身体はふりこのように揺れた。

「…どうせ、任務だからしょうがない。でしょ?」

心の中で呟いていたことを当てられてスコールはまた、ため息をついた。この任務の際、キスティスからできるだけ「親密な恋人同士」を演じるように言われたのだ。それをしぶしぶこなしただけなのに。だが彼にも言うことがあった。
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