Book
□a cold
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「ゲホゲホ…うー…」
バラムガーデン女子寮の一室。いつもは元気で活発なリノアが今日は1日床に就いている。
近年稀にみる悪性の風邪がここのところバラムで大流行していた。リノアも3日前にそれにかかってしまい、その後ずっと部屋を出れずにいる。
「はぁ…今日はスコールが帰ってくる日なのに…私のバカ。」
リノアの恋人、スコールは一週間前に任務に出ている。本来なら彼の部屋で出迎えるところだが、生憎体がだるくて動けそうにもなかった。
一方その頃…
一週間の任務を終え、バラムガーデンに戻ったスコールは報告書作成のためSeeD執務室に向かっていた。
「あーはんちょ、おつかれー!」
SeeD執務室の扉を開けたとたん、元気な声が飛んでくる。セルフィが片手を上げ大きく振り回している。
スコールがいつもの無表情でこたえた。
「…ああ。なにか変わりないか?」
「べつにー?あ、でもリノアが!大変なんよ!」
「!?どうした?」
リノアが大変、という言葉を聞いてスコールの表情が変わる。と同時にセルフィに詰め寄った。
「ちょっと落ち着いて!もう〜はんちょってばリノアの事となると人が変わるんやから〜。風邪ひいたんよ。3日前から。けっこうつらそうやったからうちが看ててんけど今日は仕事たまってて行ってないねん。