Book2
□もしも…メンバーが動物だったらB
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―目をパチパチと瞬かせるリノア。
目の前にいる動物は見たこともない種だった。どうやらこの森の住民ではないらしい。
座っていても見下ろされる大きさ。何より見たこともない眼光の鋭さにリノアはしばらく口を開くことができなかった。
グルルルル…
はっと我にかえる。相手は自分に威嚇をしているようだ。あまりの威圧感に後ずさりしてしまいそうになる。
しかしその種は緊張の糸が切れたように威嚇を止め、両足の間に顔を伏せ、目を閉じてしまった。
「!大丈夫?!」
やはりさっきの息づかいは弱っているこの種のものからだった。
額からは汗が噴き出し、体の所々から血が染みでている。
「…」
「え?なに?」
口が動き、なにかを伝えようとしている黒い動物。リノアは怯えながらもその大きな耳をその種の口元にあてる。
「…みず」
「!わかった!今持ってくるから!じっとしててね!」
リノアは一目散に聖なる泉のほうへ飛び跳ねていった。