Book2

□もしも…メンバーが動物だったらD
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「へぇ〜いろんな所旅してきたんだねぇ〜」


リノアはスコールの話を聞いてうっとりとした表情になった。自分が見たこともない世界。いつかこの森の外に出たいと思う。もちろん帰ってくる所はここだけど。


「…別に。食料と休む所を求めて移動するだけだ」


スコールは未だ無愛想ながら徐々に口数が多くなってきた。と同時になぜこんなにも会話が進んでいるかにも疑問を抱いていた。


小動物と普通に談話する自分…こんなことは初めてだ。


ちらり、とうさぎのほうを見やる。彼女は終始笑顔で時折鼻をひくひくさせながらスコールとの会話を楽しんでいるようだ。


…自分と関わるものがあんな表情を生み出せるなんて。


久しぶりに見た「笑顔」というものにスコールはなにかが自分の中でぐらついたように感じた。…それが何なのかは分からないけれども。



一方リノアはスコールの予想通りこの会話を楽しんでいた。


(初めはなんて冷たくて怖いんだろうと思ったけど…)


だけどそれだけが彼の全てじゃないはず。あの寂しさを滲ませた瞳もやはり彼の真実なんだと思う。だからこそリノアは彼を笑わせたかった。幸せな気持ちにしてあげたいと思った。
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