Book3

□Rhapsody in blueB
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もう駄目!そう思った瞬間ぐいっと腕を引っ張られてリノアはぷはっと海面に顔を出すことができた。

「大丈夫か…?」


ゼイゼイと息をつくリノア。ようやくおさまったところでぎっとスコールを睨みつけた。

「…!ひどいよ!急に浮き輪とっちゃうなんて!バカバカ!スコールのばかぁ!」

未だリノアはパニック状態から抜け出せない状態でスコールの胸をどんどんと殴った。

そんな彼女に苦笑しながらスコールはとっさに彼女の腕をつかむ。

「落ち着け…リノア。よく見てみろ」

「え?」

「…足元」

ぽかんと視線を下に向ける。と、いつの間にか自分の足で立っていた。

「あ…」

「ほら。大丈夫だろ?そう簡単に溺れはしない」

そっか…そうだよね。あの頃の自分じゃない。ちゃんと体は成長してるし…もちろん心だって。そう思うとリノアはなんだか今までおびえてたことがばからしくなった。

「な〜んだ…案外怖くないかも」

「そうだな」

スコールが暖かいまなざしを向ける。リノアは自分がもう海に対する恐怖が無くなっていることを自覚した。自分の成長が確認できたことによって。それと…溺れると思った瞬間、彼の頼れる腕がしっかり自分を守ったことによって。

「スコール…なんか荒治療だったけど!…でもありがとう」

一応感謝の気持ちを述べておく。そう、彼は荒波が来ることを予測を付けておいてあえてあそこで浮き輪をとったに違いない。


でもあんな醜態を見せてしまった手前、素直に謝ることもできず、最後はぼそっとした声で呟いた。

「ま、確かに荒治療だけどな…これで楽しめるだろ?」

「そうだね…」



と、その時…

「お〜い!はんちょ!リノア!いちゃいちゃするのもいいけどさぁ〜あそこの海の家でごはん食べよって〜!ゼルたち行っちゃったよ〜」

大声でこちらに向かって叫ぶセルフィ。とたんに彼らの周りにいた人々の視線を食らうことになった。

「わかった〜!今行く〜」

満面の笑みで手を振り、リノアはセルフィにむかって叫んだ。
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