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□せめて笑顔で。
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“あなたさえいてくれたら他には何もいらない”
なんて。
そんな風にいわれた俺は、一体なんて返せば良かったのだろう。
(いまだにわからないけど、でも。)
《せめて笑顔で。》
「ラビ!」
たたた、と走ってきて、白が俺に抱き着いた。
真っ白な花が咲くように穏やかに笑うコイツは俺の親友で、つい最近恋人になった。
「おはよアレン。どしたさ?」
「ラビがいなかったから探してたんです」
「そっか。ゴメンな」
くしゃりと柔らかな髪を撫でたら、アレンは幸せそうに微笑む。
アレンからの告白の言葉は、単純に好きです、と
『僕はあなたさえいてくれたら他に何もいりません。』
何の躊躇いもなく笑顔で言われた俺は、まるで言葉を奪われてしまったかのように何も言えなくなった。
何と言えば良かったのかなんて、あれからどれだけ考えてもわからない。
けれどただ一つ思うこと。
…アレンは、俺がいなくなったらどうするだろう。
俺以外に何もいらないと笑ってくれたアレンと、俺はいつまで一緒にいられるかわからない。
そんな俺にアレンを愛する資格なんてないのかもしれないけれど、愛しくてたまらないのだ。
「…アレン、俺のこと好き?」
「?はい」
いきなりどうしたんですか、と微笑いながら頷くアレンは本当に幸せそうで、俺も幸せで。
この幸せがいつまでも続けばいいと願いながら、俺はまた、あの日貰った言葉への返事を探した。
いつまで一緒にいられるかわからないけれど、
泣かせてしまうことになるかもしれないけれど。
別れが来るその時までは、
(せめて笑顔で、お前の側に。)
fin