君の笑顔が見たい、

□夜の空に響く
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これはどういうことか。
できる事なら、此処から直ぐに立ち去りたかった。


「ウル…キオラッ…」

「…静かにしろ声が漏れる」

この扉の向こうから、確かに2つの知った声が聞こえる。ルキアの荒い息遣いで何をしているかは何となく想像出来た。


「ッ…もう、止めてくれ…」

「まだ始めたばかりだ。我慢をしろ」


本当に、偶然だった。
風呂上がりに通り過ぎたウルキオラの部屋から聞こえた二人の声に足を止めた。勿論盗み聞きする趣味は無いが、足がこの場から動かない。


「…痛い…ッ」

「してくれと頼んだのはお前だ、ルキア」


唸る様な声が、耳の奥へ侵入する。


この扉を開けたい。
だけど開けてどうする事も出来ない。

(でも真実を確かめたい)


不意に泣きたい気分の自分に気付き、情けなく思ったが、深呼吸をして右手でドアを開いた。


「…グリム…ジョー…?」


暗がりの廊下から部屋に一歩入ると、目に涙を溜めたルキアが驚いた様に俺の名前を呼んだ。

二人の姿は寝台の上。
ウルキオラの下でルキアが小さくなっていた、のではなく、ウルキオラの膝にルキアは頭を乗せて膝枕をしてもらっていた。

先程の自分の想像と掛け離れており、気が抜けたと同時に肩の力が抜けた。


「何、やってんだ…てめぇ等」

「あぁ、ウルキオラに耳掻きをして貰っていたのだ」

「…耳掻き…?」


確かに、さっきの会話はそれに当てはまるものだった様な気もする。
そしてウルキオラが口を開く。

「お前の事だ、どうせ変な事を想像していたのだろう」

「なっ…!うるせぇ!んな事想像してねぇよ!」

「…ならば部屋の前に立ち止まって他人の会話を盗み聞きする趣味はある様だな」

俺の表情を楽しそうに眺めるウルキオラが、意地悪い悪魔に見えた。

「何で、んな事知ってんだよ」

「別に。それと…お前は隠れる時は霊圧は最小限に控えた方が良い。ばれるぞ」


そう言ってウルキオラは普段見せない顔で、ニヤリと笑った。


END

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