自己満足的文章

□悲劇までの甘い時間
1ページ/5ページ

「おーい、リークスぅー!」
 シュイは、森の奥にある小さな家に向かって叫んだ。

 この家の中に居るのは、リークスという猫。
 賛牙長の次期候補であるシュイは、忙しいながらも時間を割いて、こうしてリークスの所に遊びに来る。
 それに対して、リークスはというと・・・。
 相変わらず、自分のやっている研究に夢中で、シュイが遊びに来ても、知らん顔。
 
 そんなわけで、遊びに来ても、シュイは傍らでリークスを眺めるくらいしか、することがない。
 しかし、シュイにとっては、それでも良いらしい。



「・・・・あれ、反応がない・・・?」
 家の前でリークスを呼んでいたシュイだったが、いつもならば帰ってくるはずの反応が無い事に気付く。
 シュイは、首を傾げて家の扉に手をかける。
 鍵は掛けられていなかった。
「お邪魔するよ、リークス。」
 家に入ってあたりを見回す。
 が。

 当のリークスが居ない。

 いつもならば、入った矢先の机に、居るはずなのに。
 リークスは、寝るときも、何かを食べる時も、この机を使っているはずだから、此処に居ないのは、おかしい。
 シュイは途端に不安になった。
「リークス・・・!」
 不安になって、書物の積み重なっている床に倒れていないか、まず探した。

 いない。
 続いて、台所も探したが、いない。
 屋根裏も、外に出て家の周辺も探したが、やはり居ない。

「何処に行ってしまったんだ・・・。」
 自分の中で、リークスがいそうだと思う場所は、全部探したはずだ。
 他に、心当たりは・・・。
 ・・・・。
「・・・・ん〜・・・。・・・あ。」
 心当たりが、あった。
 まだ一箇所探し忘れていたところが一箇所。
「寝室。・・・探すの忘れてた。」



 ・・・・。
 シュイという猫は、果たしてこんなんで、大丈夫なのだろうか・・・。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ