+Hesitate SS+
□014
1ページ/1ページ
昼間の明るさを少し失って
少し冷えた風が頬を撫でた
空は
夕陽では無いけれど
微かに赤く染まっていた
頭上高くには
早く出た月が見えていて
その周りを
鰯雲が囲んでいた
それは、自然の芸術のようで
不思議と瞳を釘付けた
白い白い月が
この空を伝って
何かを訴えるように
光る
鰯雲は風に乗り
月の周りから離れていく
やがて隔離された月は
何故か寂しさを映し出した
眺めていると
胸に何か突き刺さったような気がしたのは
間違いではなく
僕は
隔離された月に
仲間意識を覚えた
どんな姿であっても
隔離される運命にあると悟る