+Hesitate SS+
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大空が消えた朝
目覚めた視界のその先に
霧に包まれた
虚無しか無い世界が拓けていた
もう一度目を閉じれば
懐かしい思い出ばかりが甦り
未来のことは考えられない
この手にはもう何も残っていない
目指す丘の上から見た景色は
モノクロで彩られた花が
見覚えのある屍を囲んでいた
その屍へ手を伸ばせど
何も届きはしない
終生を告げる鐘の音が響き渡る
無言の迎えがやって来る
安楽へと導く終焉は
もう何も感じなくても良いという
罪と罰からの解放