報告書1

□プロポーズ
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ガキどもがいなくなった夕暮れ時。万事屋のソファーに座って、土方は煙草を吸っている。先ほどからこっちを見ることはない

「なあ、多串君」
「多串じゃねぇってんだろ、クソ天パ」

いつまでたっても直さない呼び方に、こっちを見ることなく返してくる。早く土方の目を見たくてもう一度名前を呼んだ

「うん。そうだね。で、多串君」
「多串じゃねぇってんだろーが!!」

やっと土方はこっちを向いた

「なに、名前呼ばれなくて寂しい?」
「脳ミソ腐ってんのかテメーは!!」

瞳孔が開ききった目で、首に刀を近づけられた。距離が近くなったのは嬉しいんだけど、刀はちょっと嬉しくない

「ちょっ、曲がりなりにも愛を交わした男にこの仕打ちはひでぇんじゃねぇ?」
「誰がいつテメーと愛を交わした!!」
「昨日の夜とか一昨日もだし。その前は二週間間空くけど。二週間って俺我慢したほうじゃね?」
「っな!!そういうこと言ってんじゃねーよ!!」

真っ赤になって否定する土方が可愛い。そんな顔してそんなこと言っても否定にならないって気づかないのかね

「映画も一緒に見て、サウナにも入って、花見もして、世間一般のデートコースは行ったじゃん。コレで付き合ってないってどうよ」
「それはお前が勝手にきて邪魔しただけじゃねーかぁぁぁぁ!!」
「それにお前すぐ帰っちまうけど仕事の合間によく来るから、万事屋に灰皿が置かれるようになったし、お前の歯ブラシや着替えだって置いてあるしな。泊まった日お前ここから屯所いくもんな」
「それはお前がしつこく泊まれって言うからっ歯ブラシはさすがに借りれねぇだろ!!それにガキ共まで言うから仕方なくっ…」

土方ガキに弱いからな。なんだかんだ言って沖田君にも甘いし。新八とも神楽ともいつの間にか仲良くなってたし。だから連れ子の問題は無いわけだ。だから…

「俺らもうほぼ同棲状態じゃん。だからよぉ…もう結婚しちまえばよくね?」

ふざけた会話の中に少しの本音を入れてみる。なんつーか、土方の反応が怖い。冗談で流すか?それとも…

「っ…するわけねーだろーこのボケがぁぁぁ!!てめ、曲がりなりにもプロポーズしてるっつーのに、何だその、ちょっとコンビニいかねぇ?的なノリはぁぁぁ!!!」

え、怒るところはそこですか?もしかして、もっとしっかり言ってたらオッケーしてくれてたのか?う
っわ…今俺顔絶対赤い



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