報告書1

□後日談
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いつもは新八起こされてやっと起きるというのに、今日は朝日で目が覚めた
遅れてばかりの待ち合わせに、今日は間に合いそうだ

顔を洗って、着替える。いつもは気にならないことが気になって、普段より長く鏡の前に立っていた
着替え終わったところで、新八が万事屋にやってくる

「銀さん?!どうしたんですか今日は。やけに早いですね」
「俺だって早起きくらいするぜ。3年に1回くらい」
「マダオがぁぁぁ!!何なんだよその3年の基準は!!何の日だよ!!」
「そりゃー…本気になる日に決まってんだろ」
「あんたの本気は3年に1回か!!」
「十分じゃね?」
「足んねーよ!!!」

ふと時計を見ると、待ち合わせの時間がだいぶ近づいている

「早起きは三文の徳って言うんですから、たまには得するために早起きしてくださいよ」
「新八ぃ」
「何ですか」
「得捕ってくるから留守番しとけ」
「ちょっと銀さん?!どこ行くんですか!!」

新八の声を背中で聞いて万事屋を後にする。向かう先は待ち合わせの公園

昨日は緊張して眠れなかった。天井を見ながら考えていたことは今日言う言葉。
冗談だろと怒る?それとも泣く?どんな反応でもいいから、笑ってほしい

そばにいると感じると幸せになれる。そばで笑ってくれるだけで救われる。
そんな気持ちは二度と、他人に感じることはできないと思う

考え事をしていたら待ち合わせの公園に着いた。いつも遅れていくというのにきっちり時間通りにいることに愛おしさを感じる。
こっちを向き、時間通りに現れた俺に驚いている。

「どうしたんだ、いつも遅れてくるのに。今日はやけに早いな」
「今日はちょっと本気だからね」
「はぁ?」
わけが分からないといった顔
俺は緊張をほぐそうと、持ってきたものを握り締める
昨日考えていたはずなのに、言おうとした言葉なんてすっかり頭から消えてしまった

「三ヶ月、頑張って働いて、やっと昨日買うことができたんだ。」
「はぁ…」
「だから、…受け取ってほしい。土方」

差し伸べた手を取ってほしい。一緒に生きていきたい。

そんな不安と誓いを込めて、俺は指輪を差し出した



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