報告書3
□プロポーズ
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仕事が終わって深夜2時。もぎ取った休日を片手にふらふらと家に帰ってきた。誰も居ないはずの家なのに、鍵が開いていた
「なんでてめーがここに居るんだ、高杉!!」
「おいおい、俺はお前のコイビトだぜ、いつここに来たって問題ねぇだろ。それに合鍵だってもらったぜ」
家に居たのは高杉。確かに、捕まらないようにここの合鍵は渡した。百歩譲ってコイビトってのも認めてやろうでも…
「そういう意味じゃねぇよ!!お前、今京都のはずだろ!!」
監察からの報告では、高杉は今京都に潜伏中のはずだ。あいつらさぼりやがったな
「あぁ…こそこそ嗅ぎまわってる奴らがいたが、撒いてきたぜ。安心しろ」
「…今度シメてやらねぇと」
サボっていたわけではないことが分かったが、真選組として攘夷浪士にそんな簡単に撒かれてもらっては困る。まぁ、気紛れで何にも捕らえられないこいつを捕まえろなんて酷すぎるとは思うが…
「まあいいじゃねぇか。」
「はぁ…。それで、真選組の監察撒いて何しにきたんだ。自首でもしに来たかテロリスト」
「お前に会いに来たにきまってんだろ。話もあったしな」
「っ…」
敵同士だというのに、高杉は何のためらいもなくこういうことをサラリと言う。気紛れだと何度も自分に言い聞かせるのに、俺は気紛れに放たれる言葉に流される
「それで、話ってのは何だ」
なんとなく居心地が悪くなり、話題を変える。すると、いつもは単刀直入に話をする高杉が、珍しく言いよどんだ
「あー…とりあえず受け取れ」
「何だ?」
「いいから受け取れ。返却は認めん」
投げてよこされたものは、シンプルな小さい箱
「認めんって…変なものじゃねぇだろうな」
「法にひっかかるようなもんじゃねぇよ。開けてみろ」
こちらを見ることなく高杉は言い放つ。一体何なんだ。高杉の態度も気になるが、こちらも気になる
「っ!!お前、これっ!!指輪じゃねぇかコレっ!!どうしたんだよ」
中にはいっていたのは銀の指輪。派手でもないデザインのそれが手の平で輝いている。
「お前のために選んでやったんだぜ」
「選んでって…脅してもらったとかじゃねぇの?」
「そんなんじゃねぇよ。こいつは俺が買ったやつだ。金も俺の昔の口座から出したもんだからキレーな金だ」
「こ、口座?!お前そんなんもってたのか!!」
「おい、気にするところはそこか」
「今度は口座の方から洗ってみねぇとって、ちがう!!なんでお前はコレを俺に…」
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