夜空の虹霓
□Iris01 編入
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「お、終わった……」
「ふふ…お疲れ様、燐ちゃん」
やっとLHRが終わった。
転入初日というだけあって、休み時間の度にクラスの殆どの人から質問攻め。
今までこんな経験がなかっただけに……なんか凄く疲れた。
今は放課後というだけあって、休み時間やお昼休みのような質問攻めにはあってない(その方が有難いんだけど)。
幸いなことにちぃちゃんと同じクラスになれたので、だいぶ気は楽だったし、質問攻めされてるときも随分助けてもらった。
そんなわけで、ちぃちゃんと同じクラスで良かった……と心の底から思った。
「あ、そうだ。燐ちゃん、放課後どうする?」
「放課後?」
「私、放課後も部活あるんだけど……今日はそんなに長くないはずからどこかで待っててくれれば一緒に帰れるよ?」
「本当…?じゃあ待ってる」
私がそう言うと、ちぃちゃんはニッコリと微笑んだ。
……可愛い、と素直にそう思ってしまう。
あれから、本気で笑えない私とは正反対だ。
「どこで待ってる?図書館とか?」
「……とりあえずテニスコートに…行く」
私がそう言った瞬間、少しだけどちぃちゃんが顔色を変えた。
「…テニス、コート……?大丈夫なの?テニスコートに行っても」
「…うん。じゃないとわざわざ氷帝に編入した意味ないもん」
「そっか…そうだよね!じゃあ観覧席にいるといいよ。でも、あんまり無茶はしないでね?」
「……うん」
……ちぃちゃんは全部知っているからこそ、本気で心配してくれている。
凄く良く、わかってる。
ちぃちゃんは、今の私が弱音を吐けて…本気で頼れる人。
ちぃちゃんの他には……周、くらい。
ちぃちゃんや周と同じくらい…とはいかないけど、心から信頼できるのは2人の他に、裕くんやちぃちゃんと周と裕くんのお父さんとお母さん。
それから……幼馴染と、その仲間たち。
そして……遠い遠い親戚と、青学のテニス部のレギュラーメンバーの人たち。
最も……生きている人だけなら、の話だけど。
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