夜空の虹霓
□Iris02 決意
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「燐ちゃん、景ちゃんの言うことなんて気にしなくて良いからね」
「ちぃちゃん……」
いつの間にか反対側にいたちぃちゃんが跡部くんを軽く睨みながら私にそう言う。
「おい千紗都…っ」
……跡部くんには悪いけど、今の私はマネージャーなんて到底出来っこない。
だって、ここで…この氷帝でテニス部のマネージャーをやるということは…………
「…すみません、それはちょっと……」
私は俯き、呟くようにそう言った。
「な「はい、話は終わり。燐ちゃん、立てる?もう今日は帰ろう」
ちぃちゃんが手を差し伸べてくれたから、その手をとって立ち上がった。
眩暈とかあるかな…?なんて思ってたけど、意外にも眩暈とかはしなく、思っていたよりも体調は良かった。
これなら普通に歩いて帰れる…と思う。
「うん、大丈夫みたい」
「そう…良かった」
「おい、千紗都!話はまだ「燐ちゃんが無理って言ってるんだから諦めて。それから、言っておくけど金輪際この話は禁止だからね!」
ちぃちゃんはそれだけ言うと、跡部くんの返答すら待たずに思い切り保健室のドアを閉めた。
「……なんか凄いね、ちぃちゃん」
「え?なにが?」
「あの跡部くんとあんな風に話せちゃうなんてさ」
「そう?だってもう5年の付き合いにもなるんだよ?これくらい意見でも言わなきゃあのテニス部でやっていけないって」
ちぃちゃんは軽く笑みを浮かべながらそう言う。
……確かに、その通りかもしれない。
ちぃちゃんの言葉に納得せざるを得なかった。
氷帝のテニス部って言ったら個性的なことでかなり有名だもんね……
ま、個性的ということなら青学や立海も負けてはいないと思うけどね。
「燐ちゃん、景ちゃんの話なんか無視してもいいからね」
「……うん」
テニス部のマネージャー……やってもいい気はするけど、やっぱり出来ない。
ましてや氷帝で、なんて……
帰路でそんなことを思いながら、氷帝での1日目を終えた。
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