紅涙の欠片
□Piece10 心の涙と決意
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「みんなは優しくて！私は……ツナたちを裏切ろうとしてるのに…」
「……柚稀さんは変わらずお優しい」
「……え？」
「今の俺は何も言えません。でも、言えることがあるとしたら……あなたの思うとおりにすればいいのだと、思います」
「私の、思うとおり…に？」
驚いた表情で私がそう問うと、ランボちゃんは優しく笑い、頷く。
「そうです。あなたの思うとおりに、です。例えそれがボンゴレを裏切ることになっても…彼等はあなたを責めないと思いますよ」
「…ランボちゃんは知ってるの？私が『どの道』を選んだか」
「…………」
私がそう尋ねると、ランボちゃんは黙り込んでしまった。
それは多分……肯定、だから……？
「お願いランボちゃん、教えて！私は…『どの道』を選んで『どんな結果』になったの！？」
「…それは言えません」
「どうしてっ！？」
「…今俺が言ったら柚稀さんはその道に決めてしまうでしょ？」
「……そう…かもしれない…でも私は！…どうしたらいいのか、わからないのっ…」
私がそう言い俯くと、ランボちゃんが私の顔を…瞳を覗き込み、優しく語りかけてくれる。
「…柚稀さんの中ではもう決まっているのではないですか？」
「…え？」
「柚稀さんが気付いていないだけで、もうとっくに答えは出ているのではありませんか？」
「答え、なんて……わからないよっ」
「…あなたが、自分の心で決めればいいのですよ」
「私が、自分の…心、で？」
「そうですよ、柚稀さん。あなたならきっと大丈夫です。あなたなら…」
「…ランボちゃん……」
ランボちゃんの優しさが身にしみた。
…そうよ、全部…ランボちゃんの言う通りじゃない。
こんな簡単なこと…どうして言われるまで気付かなかったんだろう？
………決めた。
もうここまで来てしまったのだから……覚悟を決めよう。
例えそれがみんなを裏切る形になってしまったとしても。
……みんなから嫌われる結果になってしまったとしても。
全ては、私の心の弱さが原因、なのだから……
「ランボちゃん、ありがとう。私、もう迷わないよ」
「いつものあなたらしくなってきましたね」
「そう？」
「えぇ」
残り僅かな時間で、私が出来ること。
……見つけた。
「…良い結果になることを祈ってますよ」
「……ありがとう」
私はそれだけ言うと、ランボちゃんから離れ駆け出した。
もう振り向くまいとは思っていたけど…最後に、もう一度だけ。
「ランボちゃん…またね！」
笑顔で、彼に私の思いを伝える。
「……えぇ、また」
彼が呟いてくれたのが、微かに聞こえた。
もう、振り向かないよ。
残り時間なんて、そんなの関係ない。
気付いてしまったから…彼等の言っていたあと3日の意味に。
決行は今夜にしよう。
夜までには全ての準備を整えて。
……今夜、私にとって長い長い夜が始まる。
Continuare.