紅涙の欠片
□Piece18 光と闇の対照
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「ディーノさんとリボーンに聞いたよ、全部。っていってもよくわかんなかったし、獄寺くんも何も教えてくれなかったけど。でも柚稀は……柚稀の言う「光」が似合いすぎるほど似合ってると思う」
「……私が、人を殺したことがあるって知ってもそんなこと言える?」
「…もしそれが本当なら……今柚稀はそんな手を震わせて、泣きそうな表情してないでしょ?」
ツナに言われて……はっとした。
私の瞳からは大粒の涙が溢れていて、これでもかってくらい手が震えていた。
そんな私を……ツナが優しく抱きしめてくれた。
「…話してよ、柚稀。俺は柚稀のどんな過去だって受け入れる。だから……」
「でも……「それに、もし人を殺したことがあっても柚稀は柚稀だよ。それは変わらない」
後ろから、聞き慣れた声が聞こえた。
この声を、私が聞き違えるわけがない。
だって、この声は………
「……恭弥………」
「例え柚稀が闇の世界に住んでいたとしても構わない。もしそうだったら僕が…柚稀を光の世界に連れ戻してあげる」
「雲雀さんの言うとおりだよ。柚稀は闇に染まる必要なんかない。闇の世界にいても…ずっと光の下を歩いているべきだよ!」
恭弥とツナがそう言う。
ふたりのその言葉に……本気で涙が出そうになった。
「……反則だよ、恭弥、ツナ」
「「柚稀?」」
「そんな言葉…朽葉に言ってもらって以来だよ………」
脳裏に、あの日の朽葉の言葉が蘇った。
……忘れてたよ、今の今まで。
ダメだな……私。
「……私は、ここにいてもいいの?」
「「当たり前でしょ?」」
また、恭弥とツナの声が重なる。
その事実に……更に、瞳から涙が溢れた。
「…話途中悪いけどさ…時間はいいのか?柚稀」
ディーノ兄に言われて慌てて顔をあげて時計を見た。
………え、マズくない?
「ちょ、遅刻する…っ!どうしよ…」
「会場まで乗せて行ってやるよ。ほら、行こうぜ」
車はもう下に停めてあるから、とディーノ兄が続けた。
「ごめん、ふたりとも。この続きはあとで!」
そう行って、予め用意してあった荷物を手に、慌てて部屋を飛び出した。
家の前に停めてあった車に乗れ、ってディーノ兄が言ったから遠慮なく乗り込んだ。
でも……たかが弓道の大会に行くのに黒塗りはどうかとも思うけどね。
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