刹那の奏法

□music05 知られた秘密
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「ねぇ、珠葵は普段どういう練習してるの?…具体的に何をやればいいのと思う?」


この前のお披露目の数日後のお昼の時間。

香穂にいきなりこんな質問をされた。

少し考えてから、香穂に質問の答えを返すべく口を開いた。





music05 知られた秘密





「普段は…とにかく毎日、必ず数曲は弾くようにしてるよ。具体的に……色んな曲を弾いてみればいいんじゃない?」

「……ごめん、珠葵に聞いた私が間違ってた」

「……?」

「…ちょっと金澤先生のところに行ってくるね」


私の返答を聞いた香穂は、溜息をつきながら教室をあとにした。

私、そんなに的外れな答えを言っちゃったのかな…?


「そういえば珠葵は学校にヴァイオリンを持ってこないんだね」


3人になった途端に、直が私にそう問いかける。


「香穂は毎日持ち歩いてるのに」

「あ、うん。家に完全防音の練習室があるからどうしても学校で練習しなきゃいけないわけじゃないし」


確かに、学校で練習した方が効率はいいのかもしれないけど、他にも理由はあって。


「それに、私たちが通っているのは普通科でしょ?もし教室にいないときにヴァイオリンになにかあったら、自分を責めても責めきれなくなっちゃうもん」

「珠葵は本当にヴァイオリンが好きなんだね」

「うん!大好きだよ」


美緒の言葉に、私は笑顔で答えることが出来た。

多分少し前の私だったら、多分こんな素直には答えられなかったと思う。

これも彼らのおかげ、かな?

ふと、そんなことを思った。

その後、中々戻って来ない香穂のことが気になり、私も金澤先生のとこに向かおうと教室を出た。


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