刹那の奏法
□music14 新たな伴奏者
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「珠葵!お願い、助けて!」
お昼休み。
ご飯も食べ終わり、いつも通り美緒と直と話していると……慌てて飛び込んできた香穂にそう言われた。
「何?どうしたの?」
「あのさ、凄い言い難いんだけど……私の伴奏者探しを手伝ってくれない?」
「……あぁ、そっか!」
すっかり忘れてたけど……よくよく考えてみれば2セレまであと数日じゃん。
music14 新たな伴奏者
「しかし……なんで今頃?」
「実はさっき金澤先生に会って、そう言われて……」
香穂が乱れた息を整えながら呟いた。
この様子だと練習に気をとられてて伴奏者のことすっかり忘れてたんだね……
「それじゃ、とりあえず湊にでも聞いてみる?」
多分、私と香穂のふたりで伴奏者を探すよりも、湊に聞いた方が早いと思うしね。
……というかこれはもう湊に頼るしかないでしょ。
「うん、出来ればお願い!」
「じゃあ…行こうか?」
「どこへ?」
「どこへ?って……2年A組」
私がそう言うと、香穂も納得してくれたみたいで……ふたりで慌てて2年A組目指して駆け出した。
「急にどうしたの?珠葵」
お昼休みも残り僅かだったので、慌ててA組に足を運び、湊を呼んで……今、廊下で私と湊と香穂の3人で話をしている。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ……湊の友達で、コンクールの伴奏出来そうな人いない?」
私がそういった瞬間、湊が少しだけ顔色を変えた。
「伴奏…?もしかして伴奏者を変えたいって事……?」
「まさか。私が湊以外に伴奏を頼みたいわけないじゃん。香穂の伴奏者を探してるのよ。香穂の」
「あぁ、日野さんのね……良かった、私珠葵に何かしちゃったかと思ったじゃない」
「そんなわけないでしょ。今だってこうして湊を信頼して頼ってるんだから」
「ふふ、それはありがとう。で、話を戻すけど伴奏者だよね?……そんな人……「湊」
湊が必死で考えていると…教室から誰かが湊を呼んだ。
この声は……
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