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□午後18時の、再会
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「本当にここであってるの、かな?」
「…それを聞きたいのは私の方よ……」
今、私たちはあの有名な星奏学院の前に来ています!
来ている、というか私が無理矢理友達に頼み込んで一緒に来てもらったんだけど。
それにしても……私たち、凄く浮いてる気がするのは何故だろう。
今、自分の学校の制服を着ているっていうのもあるけど……なんかエリート校は違うな、とか思っちゃう。
すれ違う人、みんな頭が良さそうだし。
「それで?ここにいれば例の彼に会えるの?」
「え、わかんない…」
「わかんないって……大丈夫なんでしょうね?」
「でもここの音楽科の制服着てたし…」
私がここに来たのには理由がある。
それは遡ること10時間くらい前のこと。
「きゃー遅刻っ」
朝、私は長い道のりを必死で駆けていた。
「あーもー…なんでよりによって朝、目覚ましが壊れるのよ!」
次のバスに乗れないと完璧に遅刻決定なので、次のバスだけは逃すわけにはいかない。
そう思って無我夢中で走っていたので、私は曲がり角に誰かがいるなんて思ってもみなかった。
もちろん気付いたときには既に遅くて……ドン、と目の前の男の子にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさ…」
「こちらこそすま「あぁっ!」
ぶつかった反動で、持っていたバッグをうっかり手放してしまい、バラバラと楽譜が散らばってしまった。
「あぁ…やっちゃったぁ…」
はぁ、と一瞬溜息をつくけどゆっくりしている暇なんかない。
「やば、遅刻っ……」
慌てて周りの楽譜をかき集めていると、ぶつかった男の子が半分くらい拾ってくれたらしくて、私に手渡してくれた。
「大丈夫か?」
「あ、はい!平気です。すみません、ありがとうございます!では私、急ぎますので」
それだけ言うと、頭を下げ、彼から楽譜を受け取ってバス停まで全力疾走した。
ギリギリ間に合ったバスに乗ってから彼の名前とか聞いてないことに気付いた。
おまけに拾ってくれた楽譜に彼のものも混ざっていたらしくて、あの時彼が着てた制服を頼りにここまで来たんだけど……
「でも手がかりはその楽譜と記憶だけなんでしょ?もう諦めたら?」
「でもこの楽譜返さなきゃだし…それにちゃんと謝ってお礼も言いたいし…」
そんなことを言いいながら星奏学院の正門をふと見ると、そこには朝見た顔が……
「見つけた!」
「え、どこ!?」
「ほら、あの人だよ!あのヴァイオリン持ってる人!」
「え、ちょっと……あの人、もしかしなくても月森蓮なんじゃ……ちょっとっ!」
次の瞬間。
私は彼のとこ目指して走り出した。
友達の声が耳に届かないくらい無我夢中に……
午後18時の、再会
(きみは確か、今朝の…)
(はい!今朝はすみませんでした!ろくにお礼も言わずに……あ、これ、紛れてたんですけどそうですか?)
(あぁ…わざわざすまない)
(いえ。あ、あの……その……良かったらお名前、教えてもらえませんか!?)
(……月森蓮。きみは?)
(えっと、私は………)
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