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□午前0時の、憂欝
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「やっぱり今年も会えないのかな…?」
只今の時刻は23:50。
もし明日会えるなら今日中に連絡くれるって言ってたから、もう今年も無理かもしれない。
明日は、私の誕生日。
私の恋人であるディーノはとっても忙しい人だから、明日会えるなら今日中に連絡くれるって言っていた。
でも今日も残り10分…
もう半ば諦めかけていたところに携帯電話が鳴った。
「誰?こんな時間に……」
ディスプレイを見てみるとそこに表示された名前は…
「ディーノ!?」
その名前を見た瞬間、何の迷いもなく通話ボタンを押す。
『よぉ、起きてたか?』
「ディーノ……電話、待ってたよ。会いたい、よ」
『あぁ、俺もだ』
「今どこにいるの?」
『すぐ近く。っていうかさ…窓、開けてくれねぇ?』
「え?」
ディーノに言われて窓の方を見る。
すると窓の傍にある木のところにディーノがいた。
「ディーノ!?」
窓を開けて思いっきり彼の名前を呼ぶ。
「何でそんなとこにいるの!?」
「いや、窓から入って驚かせてやろうと思ったんだけど……窓の鍵開いてなくてな」
「…ってかそんなとこにいると危ないよ?」
「大丈夫だって」
「……その木、意外に脆いんだけど…?」
「え?」
…バキッ。
言ってるそばからディーノが乗っていた木が派手な音を立てて……折れた。
それと同時にディーノは木から落る。
「ディーノっ!」
私は真っ青になり、慌てて庭に急ぐ。
「いてて…」
「ディーノ…大丈夫?」
「まぁ、な」
そんな状態の中、ディーノはちらりと腕にはめた時計を見る。
3、2、1……0のカウント共に日付が変わり。
「Happy Birthday」
「…え?」
「昨年会えなかっただろ?だから…その分、今年は一番始めに言ってやろうと思ってな」
「ディーノ…ありがとう、大好き!!」
私は思い切りディーノに抱きついた。
午前0時の、憂欝
(今日1日はお前の好きなとこに連れてってやるよ)
(嬉しいけど…仕事は大丈夫なの?)
(………)
(………)
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