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□午前1時の、後悔
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「あーもう……なんであんなこと言っちゃったんだろ…」
日付が変わって1時間が過ぎた。
彼と別れて家に帰ってきてから…ずっと後悔しっぱなし。
だから何をやってもおぼつかず、結局私は私服のままベッドに潜り込んだ。
そしていつの間にか寝ちゃって、さっき起きてやっと頭の整理をしたところだった。
「あんなこと言うつもりなかったのにな……でもあれは骸だって悪いもん!」
そう、呟く。
事の発端は数時間前。骸と久しぶりに一緒に出かけた。
でも、その場でちょっとした言い争いをして、喧嘩っぽくなって……
私は言いたいことだけを骸にぶつけて、そのままひとりで帰ってきてしまったのだ。
「(いや、骸は何も悪くない………ほんとに悪いのは…)」
ほんとに悪いのは私…それくらい、わかってる。
あのときは頭に血がのぼって何を言ったかはよく覚えてないけど、ひとりで家にいると頭は冷えたし……自分がいけなかったなということくらい、わかる。
「明日……いや、今謝った方がいいかな…?」
そう思い、鞄から携帯電話を取り出し、開く。
画面を見た瞬間…物凄く、驚いた。
「メールと電話………全部骸から…?」
メールは数通だけど…電話の数がすごい。
それこそ30分〜1時間に1回くらいの割合でかかってきてる。
あのときすごい剣幕で骸にいいたいことぶつけちゃったから骸も自分が悪いとか思ってしまったのだろうか…?
「(悪いのは全部私、なのに…)」
メッセージもいくつか入っていたから聞いてみることにした。
いくつかといってもメモリの都合上4つまでしか聞けないんだけど…
『今どこにいるのですか?』
これは多分骸に黙って帰っちゃったときのだろう。
『無事ですか?何かに巻き込まれてはいませんか?』
『お願いですから連絡してください』
……これを聞いてるとなんかすごく悪いことをしたように感じる。
いや、実際そうなんだけどさ。
そして最後のメッセージを聞いて…物凄く驚いた。
『今家にいますよね?あなたが許してくれるまで僕はあなたの家の前にいますから…』
「………え?」
もう夜中の1時で、この最後のメッセージから既に5時間は経っている。
まさか……と思いながらも慌てて玄関の扉を開けると、そこには玄関に寄りかかって眠っている骸の姿があった。
「骸…?骸っ」
私は慌てて骸に駆け寄り、骸に向かって呼びかける。
「骸っ…」
「……おや、眠ってしまったようですね」
私の呼びかけに応えるかのように目を開けた骸に、思い切り抱きつく。
「ごめんね、ごめんね骸……」
骸の体は……吃驚するほど冷えきっていた。
いくら暖かくなったとはいえ夜はまだ寒い時期なのに、長時間も外にいたのだから……冷えていて当たり前だ。
「では、許してもらえるのですか?」
「許すも何も、全部私が悪いんだって!ごめんね、私ひとりで怒って、言いたいことぶつけて……」
そう呟きながら……骸を見据えた。
いつのまにか瞳には涙が溢れていた。
「泣かないでください。それに貴女だけのせいではありませんよ。僕も悪かった……すみません」
骸は私の涙を拭いながら呟く。
「謝らないでよ!全部私が……それより中に入って!このままじゃ風邪引いちゃうよ」
「はい」
今の状況を考えると…今すぐに風邪をひいたっておかしくない。
私は骸を部屋に案内し、ホットレモンを作り、骸に渡した。
「骸…大丈夫?」
「えぇ、今ので生き返りましたよ。ありがとうございます」
「よかった……でもいくらなんでも無茶しすぎだよ」
「……あれくらいしないと簡単に許してもらえそうになかったので…ね」
「………」
骸が軽く微笑む。
悔しいけど…骸の言うとおりだ。
私は変なとこで意地を張るから……
「本当にに…ごめんなさい」
「いえ、あなたの気持ちもわかりましたから。明日…は無理ですが来週あたりにでも行きましょう」
「……いいの?」
「もちろんです」
それを聞いて私はまた骸に抱きついた。
「………骸、ありがとう…大好き!」
「僕も、ですよ」
午前1時の、後悔
((どんなに喧嘩してもやっぱり私は骸が大好きなんだな……))
(クフフ…僕もですよ)
(えっ……今の声に出してた!?)
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