夜空の虹霓
□Iris02 決意
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「待って、景ちゃん!ダメだよ!それだけは」
「でも見ただろ?お前だって…」
「そりゃ…当たり前じゃない!だって燐ちゃんは……」
薄っすらと意識を取り戻したとき、曖昧にだけど……こんな会話が聞こえた。
Iris02 決意
「…ちぃ、ちゃん?」
「燐ちゃん!?良かった……目が覚めたんだね」
私がそう呟くと、ギュッとちぃちゃんが抱きしめてくれた。
「心配したよ」
ちぃちゃんがか細い声で呟く。
……そっか、私あの場で倒れちゃったんだ。
「……ごめんね、ちぃちゃん。迷惑かけちゃって」
「迷惑だなんてとんでもない!むしろ…ありがとう。手当て、手伝ってくれ「話の途中悪いが……ちょっといいか?」
ちぃちゃんが喋ってるところを遮って、後ろにいた人が話しかけた。
「ちょ…邪魔しないで、景ちゃん」
「いいから、千紗都は黙ってろ」
「出来るわけないでしょ!そんなこと」
グイ、とちぃちゃんを押しのけて、私の目の前に現れたその人は……気を失う直前、助けてくれた人……
「跡部、景吾……くん…?」
「……フルネームはやめろ」
「じゃあ…跡部くん?」
私がそう呟くと彼は少しだけ考えてから……口を開いた。
「……とりあえずそれでいい。確か…燐とか言ったな?」
「はい。黒葛原燐って言います」
「見かけない顔だが……転入生か?」
「はい……今日から氷帝に編入しました」
「クラスは?」
「ちぃちゃんと同じ、3年C組です」
私がそう答えると、彼…跡部くんは少しだけ何か考えて、また口を開いた。
「燐、お前…テニス部のマネージャーをやれ」
「……は?」
急に呼び捨てにされた挙句マネージャーをやれ、と来たか。
しかも命令形とは……
想像してた通りというか想像以上というか……
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