夜空の虹霓
□Iris05 大切
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「千紗都!燐が…っ」
生徒会室で景ちゃんと資料整理をしてると、慌てて亮ちゃんとジロちゃんが飛び込んで来た。
「燐ちゃんがどうかしたの?」
「燐が…いないんだ!」
亮ちゃんにそう告げられた瞬間、思わず手に持っていた資料の束を落としてしまった。
でも、どうやらそれは私だけじゃなかったらしい。
景ちゃんも同じように落とし…床には資料が散らばった。
Iris05 大切
-千紗都視点-
「どういうこと!?」
目に見えて動揺しながら、私は亮ちゃんとジロちゃんに問い詰めるように言い放つ。
「教室で待ってて、って言ったんだけどひとりで先に行っちゃったみたいだCー」
「…どうしよう……」
私が慌てふためいていると、景ちゃんが冷静に窓を指した。
「見ろ、千紗都」
私も亮ちゃんもジロちゃんもほぼ同時に景ちゃんが指差した方を見る。
景ちゃんが指差した先は隣の棟の3階の窓際で、そこには……
「燐ちゃん!」
「ほら、行って来い」
「うん!」
景ちゃんにそう促されて、私は燐ちゃんが歩いている隣の棟へ駆けて行こうと慌てて生徒会室を飛び出した瞬間。
「きゃっ」
「うわっ」
……誰かにぶつかってしまった。
「ごめんなさ……ってなんだ、がっくんか」
「なんだ、ってことはねぇだろ!」
「どないしたん?千紗都。今日は跡部と一緒に資料作成する言うてたんやん」
がっくんの隣りにいたおっしーがあたりを見渡しながら言う。
「うん、そうだけど?」
「……跡部、宍戸、ジローまでここにおって……燐はどないしたん?」
「それが……」
おっしーが凄く気にしてるみたいだったから、軽くこのいきさつを話した。
するとがっくんが少しだけ口元を歪めて「…さっき隣りの棟でファンクラブの会長たちを見たぜ?」と呟いた。
「じゃあ急がなきゃ!接触なんかさせない!」
今の状態で燐ちゃんとファンクラブの人たちが接触したらどうなるかくらいわかりきってる!
だから私は、慌てて隣の棟へ行く道へと走り出した。
後ろの方で「仕方ねぇ……俺たちも行くか」とのんびり呟いた景ちゃんたちを置き去りにして。
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