夜空の虹霓

□Iris09 写真
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「突然だけど、大掃除やるよ!」


レギュラーのみんなが揃った部室で、ちぃちゃんがニッコリと微笑んでそう口にする。

その言葉に、この場のみんなが唖然とするか、疑問符を浮かべるか、平静でいるかの3パターンに分かれた。





Iris09 写真
-燐と千紗都の混合視点-





「なんで大掃除なんだよっ!」


真っ先のそう叫んだのは、さっき唖然としていた岳人くん。


「明日から夏休みだから」

「掃除は一応マネージャーの仕事だろ?」


さらりと呟いたちぃちゃんに対しそう問いかけたのは、さっき疑問符を浮かべていた宍戸くん。


「そうなんだけどさ……」

「大掃除の理由を話せ」


そう言い放ったのはさっきから平静な跡部くん。


「だから、明日から夏休みでしょ?IHまで日もない…つまり、それまでは練習に専念する。これは間違いないよね?」


ちぃちゃんのその言葉にこの場の全員が頷く。


「IHが終われば、結果がどうであれば引退。引退したら引き継ぐわけだけど…引き継ぐ際に掃除が行き届いていませんでしたでは後輩に申し訳ないと思うのよ」

「つまり、千紗都は何が言いたいん?」


そう呟いた忍足くんに、待ってましたと言うかのようにちぃちゃんが微笑みをこぼす。


「私も明日から当分は自分の練習に専念することになるでしょ?ということは、その間のマネージャー業は全部燐ちゃんが請け負ってくれるってことなのよ」

「だから?」

「だから……みんなはIHまでの期間、燐ちゃんにひとりでマネージャー業と並行させて大掃除させる気?」


ちぃちゃんのそのひとことにこの場の全員がはっとしたような表情になるけど、逆に私の顔には焦りの表情が浮かんだ。


「え、ちょっと待って!私は大丈夫だよ!」


そう言う私の方を向いたちぃちゃんは、私に諭すように口を開く。


「燐ちゃん、ただでさえ掃除しなきゃいけない場所はたくさんあるんだよ。それこそ普段の掃除では足りないくらいに。それを燐ちゃんだけに、しかもマネージャー業と並行してやらせるなんて…そんなわけにはいかないもの」

「でも……」


確かに大変かもしれないけど、みんなの大切な練習時間を割くくらいなら私が……と言おうとした瞬間。


「わかった、今から分担して大掃除するぞ」


そう、跡部くんが言い放った。

その跡部くんの言葉になのか、ちぃいちゃんの言葉になのかはわからないけど、誰も反論はないみたいで、結局全員総出で大掃除をすることになった。


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