夜空の虹霓

□Iris10 互恵
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私たちの夏が、終わった。

8月の頭に行われたIHでは優勝こそは逃したものの、好成績を残した。

……といっても私たちが目指していたのは優勝だから、負けてしまった時はとても悔しかったのだけれど。

それから数日後、引退した私は……ひとり、ファミリーレストランの前に立っていた。





Iris10 互恵 





「やっぱりここ、かな…」


目の前のアルバイト募集≠ニいう張り紙を見ながら思考を巡らせる。

バイトを始めようと思い立ったのは今に始まったことではない。

高校に入ってからバイトをしようと思った時もあったけど、部活もあって中々出来なかった。

これから大学受験とかで忙しくなるのもわかっているけど、今しかチャンスはない。

そう言うわけで、夏が終わったあの日から何件かバイト先を探していた。


「ここなら学校帰りにも寄れるし……」


ここに決めよう、とそう思った瞬間。


「……燐?」


聞き慣れた声音で自分の名前を呼ばれ、振り返るとそこには……


「跡部、くん?」


跡部くんが、立っていた。


「こんなとこで何やってんだ?」

「跡部くんこそどうしたの?こんなとこで」


お互い顔を見合わせて、そのあと笑みを零す。

二言三言交わし、立ち話もなんだからということで手近な喫茶店に入ることになった。


「燐は何にする?」

「えっと……ミルクティーにする!」

「わかった」


私の言葉を聞くなり跡部くんは店員さんを呼び止めた。


「ミルクティーとコーヒーを」


メニューを指差しながらそうオーダーすると、店員さんは畏まりましたとひとこと言い残し、その場を去って行った。


「それで?なんであんなとこにいたんだ?」


跡部くんは店員さんが去るや否や話を戻す。

誤魔化しきれない、と思った私は心の中でため息をつきながら口を開いた。


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