紅涙の欠片

□Piece07 彼女への興味
1ページ/3ページ

始めは、ほんの些細な興味本位からだった。

でもあの瞳を見た瞬間、面白いと本気で思った。

もっと彼女のことを知りたいとさえ……思ってしまった。

こんな感情初めてだ。





Piece07 彼女への興味





「離してください!!」


帰り道で、並中の生徒が高校生らしき男3人に絡まれていた。

でも僕には関係ないし、そのまま通り過ぎようかと思った瞬間、ひとりの男が彼女の腕を掴んだ。

すると彼女は今まで慌てふためいていたが嘘かと言うほどに冷静になり、こう呟いた。

「離せ」、と。


「!!」


それを見た瞬間、彼女は面白い…と思った。

一瞬だったけどあの瞳は……本気だった。

彼女の本気の姿を垣間見てみたいと思ったけど、それと同時に


《やめたほうがいい》


という感覚に襲われた。

そして気付くと…彼女たちの方に向かい、止めていた。


「ねぇイヤがってるじゃん。離してあげなよ」

「はぁ!?お前何だよ?俺達にたてついたこと後悔させてやるよ」

「ふーん。まぁ後悔するのはそっちだと思うけど?」


彼等は僕を威嚇しながら近づいてきたが…そんなことはお構いなしにすぐにトンファーで咬み殺してやった。


「あ…りがとう、ございます」


やがて、目の前の状況を呑み込んだ彼女は呆然としながら呟いた。


「勘違いしないでくれる?僕はただ群れていたから咬み殺しただけ」


僕も適当な言葉を並べて返答する。

並中の生徒なら普通僕を見ただけでも退くというのに、彼女にはそんな様子が全くない。

それどころかお礼を言いながら深々と頭を下げた。


「それでも…ありがとうございました」

「きみ…並中生でしょ?僕を知らないの?」


彼女の態度に、不意にそう尋ねてみた。

すると彼女は不思議そうな表情をして「どこかで会ったことありましたっけ?」と呟いた。

これを聞いた瞬間、少なからず彼女に興味が湧いた。

そして、不覚だけれどこの瞬間、彼女のことをもっと知りたいとさえ思ってしまった。

そして彼女…柚稀に敢えて名前で呼ぶように指示し、約束を取り付けるとバイクに乗りその場を去った。


どうして名前で呼ばせたのか……

そんなの僕にもわからない。

だけれど…………


僕は薄っすらと笑みを浮かべた。





次に屋上で会ったときも、やっぱり柚稀は変っていなかった。

ただ、今まで僕が同じ学校の生徒だと気付かなかったみたいだけど。

でも柚稀がいつもと同じように笑顔で笑ってる姿を見ると…あの時のあの瞳は何だったんだ?とすら思ってしまう。



ねぇ、柚稀。キミは一体何を隠しているの…?


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ