紅涙の欠片

□Piece10 心の涙と決意
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「私…寝ちゃったんだ……」


あれから…死んだように眠った(ってリボーンちゃんが言ってた)。

目が覚めたら夜で……恭弥もツナも隼人も武も…それにリン、ミナ、京子ちゃん、ハルちゃんたちまでお見舞いに来てくれたみたいだったけど、顔が合わせず辛くてまた寝入ってしまった。

だから、今はあれからもう1日経っていることになる。





Piece10 心の涙と決意





ベッドから起き上がると昨日みたいな痛みはなく、体調は良いらしい。


「(皮肉だな…)」


あれから悩んでいるけど…やっぱり答えは出ない。

ふと、窓から外を見つめるけど…私の心とは裏腹にからっと晴れていた。


「…散歩でも、しようかな」


そう思い立ち、ゆっくりと着替えて外に出た。


「眩し…っ」


外に出た瞬間、そう感じた。

……私はあとどのくらいこの光の下で生きられる?

そう思ったら余計に哀しくなった。

それでも…ひたすら歩く。

別に行くあてがあったわけじゃない。

だから、傍にある公園が目に入ったので立ち寄ってみた。


「…懐かしい」


そう呟き、目の前にあったブランコに腰掛けた。

キィ…と音を立て、ゆっくりブランコを揺らす。


「ねぇ、私はどうしたらいいんだと思う?」


ポツリと呟くと、誰もいない真昼間の公園に私の声が木霊する。

残りはあと僅か…決めなきゃ、いけないのに……

瞳に薄っすらと涙が滲んだ次の瞬間、その涙が止まった。


「どうしたのですか?」

「え…?」


突然の声に驚き、声がした後ろを振り向いてみると、そこにいたのは……


「ランボ…ちゃん……?」

「…もう流石にちゃん付けはやめてください、親愛なる若き柚稀さん」

「…でも未来の私もそう呼んでない?」

「………」


私がそう呟くとランボちゃんが黙り込んでしまった。

……ということは……


「当たり、かな?」

「…全く、柚稀さんには敵わない」


そう言って、ランボちゃんは淡く微笑んだ。

それにつられて私も軽く微笑む。


「それで?どうなされたんですか?」

「…5分じゃ話しきれないよ……」

「例え5分でも柚稀さんの話くらい聞いてあげられますよ?」

「ランボ、ちゃん……」


ランボちゃんの優しさに、さっきまでとは違う涙が零れた。


「え…っ柚稀さん!?俺何か余計なこと言っちゃいました?」

「違うの…ただ、ランボちゃんの優しさが嬉しくて…」

「柚稀さん…」


服の袖で涙を拭っている私を、ランボちゃんはそっと抱きしめてくれた。


「何があったのですか?」

「…決めなきゃいけないことがあるの。でも決めることが出来なくて、時間もなくて……私は、どうしたら……どうしたら、いいのかな?」


こんなこと、ランボちゃんに言ったって迷惑なだけ。

そんなこと解っているけど……止められない。


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