紅涙の欠片

□Piece18 光と闇の対照
1ページ/4ページ

「……本当に行くの?」

「うん、行く」


只今の時刻、午前7時。

目の前には、心配そうな表情をしたディーノ兄とリボーンちゃんとツナの姿がある。





Piece18 光と闇の対照





「まだ休んでたほうがいいよ、柚稀」

「……大丈「じゃないでしょ?」


……さっきからこの繰り返し。

私は無理してでも弓道の大会に行くつもりなのに、それをツナが「ダメ」って言う。


「ねぇ、ツナ……本当に大丈夫だよ?私は」

「……嘘」

「嘘じゃないよ…」

「嘘だろ。昨日だって……あんなに泣いてたじゃん」

「それ、は……」


ツナのそのひとことに口籠ってしまう。

そんな私に、ツナが思い切り叫んだ。


「それに……それに、ひとりで抱え込んで俺たちには何も話してくれないじゃないか!」

「ツ、ナ……」


その言葉に……返す言葉が見つからなく、私はただ俯いた。


「ディーノさんだってリボーンだって知ってるんだろ?柚稀の過去」

「……全部、じゃないけど…」

「でも半分以上は知ってるんだろ?」

「…………」

「じゃあなんで俺には何も言ってくれないの!?」


…ツナの気持ちが痛いほど伝わってくる。

私は相変わらず俯いているけど……ツナは俯くどころか、私から視線をずらさない。


「……言わないんじゃなくて、言えないの」

「……え?」


ギュッと…一度手を握り締めてから……ツナの目を見て、叫ぶように言い放った。


「私は……本当の私は闇の世界で生きてきたの!だから、私にはツナという光が眩しすぎるのよ!私に光は……似合わない」


そう言った瞬間、ツナは目を見開き、ディーノ兄とリボーンちゃんは哀しそうな表情を浮かべた。

私も下唇を噛み締めていると……ツナがそっと、口を開いた。


「闇の世界、って何を指してるの?」

「……え?」

「柚稀がボンゴレで風舞姫って呼ばれてたこと?それとも…ヴァリアーってとこにいたこと?」


ドクリ、と心臓が鳴り響いた。

……なんで、それを知ってるの……?

ちらりとディーノ兄とリボーンちゃんのほうを見ると、ふたりともバツが悪そうな表情をしていた。

……ツナにこのことを言ったのはふたりか……!


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ