紅涙の欠片
□Picec22 残りの一欠片
1ページ/7ページ
「俺たちは後から行くから……先に行け、柚稀」
「わかった!」
ディーノ兄たちにかなり無理を言って黒曜センターに降ろしてもらった。
すぐにはヘリを停められないので、ディーノ兄たちも多分すぐには来れない。
だから、私だけでも先に進むことにした。
Picec22 残りの一欠片
「これは……ポイズンクッキング?」
黒曜センターの門には取っ手がなくて、溶けたようなカンジだったから……多分これはビア姉がやったんだと思う。
その門を開けて、中に入ると道なりに進んだ。
「M・M?それにバーズ……」
歩いている途中で、近くに誰かが倒れていた。
近づいてみると、それがM・Mとバーズだと言うことがわかって…思わず駆け寄った。
ふたりとは骸を介して何回か会ったことあるけど……どっちも私の苦手なタイプだったのをよく覚えてる。
状況からして、M・Mを倒したのはビア姉だろう。
バーズは確かヂヂとジジを使って自分じゃ戦わないから……きっとまた卑怯な手でも使ったんだろう、ってことは容易に予想できた。
バーズの傍にいた鳥がいないから…多分ヂヂとジジは誰かに倒されたんだろう。
リボーンちゃんの話からして倒したのは多分ランボちゃんとイーピンちゃんと……Dr.シャマルってとこかな?
そんなことを思いながらとりあえず置くに聳え立つ建物目指して歩き続けた。
足場に注意しながら進んでいると…大きな木の下でぐったりしてる武の姿が目に入った。
「武!?」
慌てて武に駆け寄る。
「……酷い」
武の身体には無数の傷。
誰かを庇ったのか、戦った末にやられたのかはわからないけど……とりあえず見る限り命に別状はなさそうだ。
ほ、っと一息ついた瞬間近くの木のところにも誰かの姿が見えた。
「誰……?ランチアさん!?」
木の陰にいたのは、前に一度だけ会ったことのあるランチアさんだった。
そっと駆け寄ると…ランチアさんの腹部には無数の針の痕があった。
「……千種が…やったの?」
そう呟いた瞬間、どこからか地響きのようなものが起こった。
「何!?」
慌て立ち上がるとすぐに地響きは止まってしまったけど……多分、地響きの発生源は少し向こうの建物からのようだった。
……きっとあそこにツナたちも骸たちもいる。
直感でそう感じた。
骸がいるならきっと千種もいるはずだから…もし毒なら解毒剤を貰えばいい。
そう思いながら、建物へと急いだ。
.