*青学*
□幸せ1分。
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早朝。いつも通りの朝。いつもとちょっと違うのは隣に手塚がいるくらい?
んーっと伸びを一つとあくび二つしてみる。眠たくて自然と下がってくるまぶたを無理矢理こじ開けた。隣の手塚を起こさないようにベッドから這い出る
台所にとことこ歩いてお湯を沸かすと食器棚から二つカップを取り出す。トースターにパンをセットしたら冷蔵庫から卵を取り出して焼いた。
「ん……。」
後ろから聞こえた声にすぐさま振り向くとまだ起きてないことにちょっとがっかりする。今日は休みだからってゆっくりしすぎだよ、手塚。
らしくもないくらいぐっすり寝入っている手塚が可愛くて、つい、くすりと笑みをもらした。ってこんなゆっくりしてる場合じゃなかった!お湯お湯!!ばたばたはしていても足音は立てないように細心の注意をはらう
煎れたてのコーヒーにパン、目玉焼きにサラダ。ちゃんとした朝食が出来て一安心だ。さて、次は……
『手塚。』
「ん………。」
『起きて、手塚。』
「……あと、少し…。」
『ダメダメ!ほら、起きてってば!!』
うずくまる手塚はすごく可愛くてもっと見ていたいけど、せっかく作ったご飯が冷めちゃうからここは我慢我慢。
布団をはぎ取ろうとした手をいきなりがしっと掴まれてそのまま布団のなかに引きずり込まれた。そしてむぎゅっと抱きつかれる。どきどき高鳴る鼓動にうるさい心臓
『いつから起きてたの?』
「今、起きたばかりだ。」
『嘘だ。』
「なぜ嘘だと思うんだ?」
『寝起きの人はこんな俊敏な動きできないはずだもん。』
「なるほど。」
いやいや。なるほどじゃないっすよ、お兄さん。君、キャラなんかちゃいますやん!あ、私も関西弁使うキャラじゃなかった!!ってこんなこと言ってる…思ってる場合じゃない。
じたばたと暴れて離せーと抵抗してみる。まあ、たいして意味はなかったけど、ね。
抵抗したせいで逆にさらに抱き締められてちょい失敗。こんなベタベタするなんて手塚らしくない。手塚から、とかあんまりないからちょっと嬉しいわけ、で。絶対言わないけど。
忘れてたわけじゃないけど早くご飯食べないとおいしいご飯が冷めてまずくなる。でも、なんとなくこの状況を自分から壊すのはもったいない気もする
『ご飯冷めちゃうよ。』
「あと10分。」
『だめ。』
「じゃあ、5分。」
『冷たくなるもん。』
そうは言いながらもちゃっかり背中に腕を回してる私はなんなんだろうね。甘えん坊かわがままなのか、自己中なのか?え、それはないよね!!
「じゃあ……1分。」
『しょうがないなぁ。』
香るコーヒーと暖かな光の朝。
幸せ1分。
―甘えたい朝―
(熱でもあんの?)
(ないが……。)
(手塚が甘えるなんてね。)
(なんだ。)
(明日は槍が降るね!)
たまにはいいよね
誰だろうか、これ!それに短い……最近置鮎さんにハマりすぎてつい書いてしまった作品。