君と出逢えた奇跡
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1章‐2
神様に感謝を
タタン……タタン
何も行動出来ずに彼を見つめていると、ふと電車の速度が遅くなった。
見れば次の停車駅である“福地駅”に着く所だった。
けれど、紫緒が降りるのはその次の“沢山駅”だ。
小さく溜息を吐きながらふと彼を見る。
「あ、次降りねえと」
「あー、俺もだよな……」
その言葉にビクリと反応した。
……彼は此処で降りるのだ。
そう思ったら自然に体が動いて。
――気が付いたら福地駅の改札を抜けていた。
自身の行動に驚きつつも少し目線を動かせば彼が駅舎を出るところで。
慌てて紫緒は彼の後を追った。
追ったからといって紫緒には何も出来ない。
おかしな行動をしている自分を自覚しつつ、紫緒はその行動を止められなかった。
「んじゃ、オレ今日はこっちだから」
「ああ、それじゃな」
友人らしい少年が手を振って彼と別れる。
気付けば小さな公園の傍まで来ていた。
彼は通り道なのか迷わずその公園へ入っていく。
紫緒もそっとその後を追った。