愛楯【短編】

□【ラブコンプレックス】
1ページ/2ページ











───与える事しか
      出来なかった…───

























甘ったるい色香の視線が、俺を見る。

濡れた唇が近づき…俺を呼ぶ。





この時点でこの女は、俺の欲求を処理してくれるだけの、ただの《肉塊》















微笑んでやりゃ
《肉塊》は頬を染める。

「最高だ」と囁きゃ
《肉塊》は優越感に浸る。

腰を振ってやりゃ
《肉塊》は喜びに鳴く。















下らねェ










偽りが、そんなに嬉しいか?





















「ねェ阿含…もう一回、」










それは、言葉《偽り》の追加か?

それとも、情事《無情》の催促か?










《肉塊》の分際で、おねだりか…

舐めてんじゃねェぞ















テメーに、はねェよ。




















「………フゥ…」

「ねェ…阿含」















─────刹那…

響き渡る、設定済みの着信音。










鐘が鳴る。

夢を見るのは、おしまいだぜ?

《肉塊》なシンデレラ……















─────ピッ…

「おぅ…どした?」



「…あ"〜悪ィ忘れてた……マジ悪ィ」

「や、なんも…マジ忘れてた」

「埋め合わせ、すっから…
あ"?ハッ、遠慮すんなよ」

「今から行っから…あァ、マジで」

「気にすんな…おぅ……後でな‥」










「愛してる…」



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ